おはなのえのえ

おはなのえのえ

2020.02.07 - 02.29

山口聡一

展覧会の概要

MARUEIDO JAPANは、この度「おはなのえのえ」山口聡一個展を開催いたします。

山口聡一は鮮烈な色彩とポップな表現でキャンバス上の形而下的かつ、形而上的なモチーフに焦点をあて、視覚的通釈をテーマに制作します。
本展ではOverlap of paintシリーズ(作者しか見ることの出来ない制作のプロセス、また作者さえも知り得ない絵の具の重なりをテーマにした作品)の「お花」をモチーフにした新作を展開させます。

是非ご高覧賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。



Statement

しばしば平面と呼ばれる絵画にも絵の具の物理的な重なりがあり、私たちの目では捉えることはできないがまるで織物のように塗り重ねられた絵の具が層を成しているのではないか?

絵画はその最表層に載った絵の具を見てイメージを受け取るものではありますが、完成に至るまでそれぞれの絵描きによって何度も何度も塗り重ねられたり、時には削り取られたり、またある時には途中まで描きかけた絵の上から別の絵を上書きしたりさえする。
その絵が完成に至るまでには作者のそれぞれのこだわりやタッチの付け方、形の出し方など「絵を描く」と言ってもキャンバスに絵の具を載せる載せ方には本当に様々な経緯とバリエーションがあると絵を描きながら感じています。

完成時にはある意味隠されてしまった完成までの経緯、絵の具の重なりもそこにたどり着くためには無くてはならない道であり、
もしその絵の具の重なりが見ることができたら、、

そもそも絵画は物質的に見るとキャンバスに載った絵の具を私たちは見ていることになります。
だとしたらその絵の具たち自体がモチーフになっても良いのではないか?
Overlap of paintシリーズでは絵画の構造や者しか見ることの出来なかった経緯、あるいは作者さえも可視化しきれないような絵の具の重なりをテーマにした作品です。

先人たちが長い研究の中で培ってきた様々な「技法」も支持体に絵の具をどう置くのか?付けるのか?という絵の具の重ね方であり、
その一つ一つは途方もない発見であると思います。

そんな技法もモチーフとしてみてみたい。
描かれた内容もさることながら、どう描くのか?という技術的なところにもそれぞれの作者の強烈なこだわりがあり、描かれたイメージにも大きく影響していると思います。

点描やディッピング、グラデーションにかすらせ方など途方もない技法の数々は、理論とはまた別に作者の感覚的なこだわりが詰まっており、触覚的なものも含めて「人間が絵画を描く」ということと深く関わっていると考えています。

本展ではそんな先人たちも多く描いてきた「お花」をモチーフに選んでいます。
同じ「お花」を描くにしても、まさにどう「描く」のか?
絵の具をどれくらい筆に乗せるのか?どんなタッチで?どれくらいのストローク幅で?そのスピードは?それらをどれほど完成まで重ねるのか?、、、
イメージを伝える多種多様な手段を持っている絵画に最近改めて強烈な興味を抱いています。
僕自身も好きであり普遍的なモチーフである「お花」を通してこれまで自分が描いてきた「絵画」とはそもそも何なのか?どういうものなのか?
絵画を描きながらその行為や過程、歴史やその技法、構造などを考えながらこの個展に向けて制作を進めてまいりました。

絵の具の重なり、絵画に到った「おはなのえのえ」を楽しんで頂けたら幸いです。

2020年1月23日 山口聡一

アーティスト

山口 聡一
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