2021.09.04-2021.09.25
ロビンソン愛子
この度、MARUEIDO JAPANではロビンソン愛子個展「UTAMAKURA」を開催いたします。
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『UTAMAKURA』
日本の人々が性的な作品に対して開放的であった江戸時代に作られた春画の多くには、男女が平等な立場で性的な喜びを共に楽しむ様子が描かれており、とても平和で理想的な愛が表現されているように感じます。その江戸時代の絵師達が描いたセックスはどのように現代社会や文化に関連しているのか、私は絵を通してリサーチを続けてきました。
今回の展示『UTAMAKURA』は今まで描いていた外での大胆なセックスと違い、部屋の中での親密な様子を描いています。木を登り、交わる恋人の非現実的な状況ではなく、今回は現実味がある作品です。全体の風景よりも、体のパーツや、手足に絡まってしまった布団や、カーテンなどの柄に集中を寄せています。これまでの作品よりも人物に近い距離感で、より親近感を感じられると思います。
作品自体は以前よりも大きく、色鮮やかです。今まで色を使うことが苦手で、白黒のモノクロームを好んできましたが、今回は色に挑戦しました。とはいうものの、青い作品、緑の作品など、一つ一つの作品を同系色で統一しています。色を統一することにより、作品によっては、描かれている状況がすぐに把握できなかったり、絵が明確に見えてくるまで少し時間が掛かってしまうという不思議な感覚があります。
構図は今回も横に長く、掛け軸や巻物などをイメージして描きました。横長の構図は文字を読むみたいに作品を観るため、ストーリー性が作られます。紙のエッジからはみ出てしまった人物には動きが感じられます。時は止まっているのではなく、流れているように見えるような絵を意識しました。
布団やカーテンに使用したムール貝や、きのこの柄は、私の定番のジョークで、ムール貝は女性器、きのこは男性器に似せて描いています。春画が笑絵とも言われていたように、私も作品にユーモアを取り入ることによって、色んな方に気軽に見ていただけるようなエロティックアートを作りたいと思っています。開いた花びらは性的な喜び、絶頂感をイメージして描きました。オレンジの作品に描かれている開きそうな石楠花の蕾からも同じような感覚を想像できます。
今回の作品も具象的ではありますが、布団やカーテンを使って人物の顔や身体のパーツを隠したり、構図自体は少し抽象的なものを意識して描きました。顔は相変わらず見せず、人物のアイデンティティーは観る人の想像に任せています。なんと言ってもセックスは文化や時代を問わず、人生に大きな喜びを与えるのですから。
ロビンソン愛子
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