2022.05.18-05.31
藤崎了一
この度、MARUEIDO JAPANでは、彫刻家・藤崎了一の個展【Sculptural Field】を開催いたします。
藤崎了一は、1975年に大阪で生まれ、京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了(2003年)、その後商業造形工房、解体現場、塗装屋、現代美術作家の工房など、いくつかの制作現場に長年携わってきた経験を持ちます。2015年に活動拠点を東京に移し、本格的にアーティストとして始動します。
これまで、様々な現場で培った経験や技術、気づきを手掛かりに、立体作品以外にも写真、映像などを発表してきました。
素材への深い知識と執着から、対象となる状況の中にある要素を抽出し、自らの身体感覚を起点に、無作為に、偶然性、素材の物性を生かして制作することで新たな造形を導き出しています。
本展出品のScanシリーズは、カッティングシートの裏面のシール面に移った(写った)素材のそのものの表情、剥がれた素材のテクスチャーは、藤崎の考える彫刻の世界観をあらわしています。
「彫刻の周りの空間は負の空間であり、彫刻の表面は彫刻自体と負の空間を介在する境界である。負の空間がなければ、彫刻は認識することはできない。これを彫刻の概念とするならば、剝がされた素材の表面は負の空間との境であり、彫刻は平面になりうるのである」と藤崎は説明します。
一昨年、偶然に発見した現象から始まったScanシリーズは、藤崎の技術で進化し、より複雑な表情を展開しています。是非この機会にご覧いただければ幸甚に存じます。
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- Artist Statement -
空間を切り抜ける身体の動きがフォルムとして立体的に切り抜かれた時、彫刻が生まれる。
引き剥がされたシートに残るパネルの痕跡が、素材の両面に彫刻作品としてのコンテクストを表出させる。
物語としては唐突な存在の立ちあらわれ方が不思議に自然と受け入れられるとき、意識は空間に吸い込まれ、時間の感覚は沈黙する。
藤崎了一
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