2023.06.24 - 07.15
山口聡一
この度、MARUEIDO JAPANでは、山口聡一の個展【Revealing the Birth of Images】を開催いたします。
山口聡一は鮮烈な色彩とポップな表現で、絵画の成り立ちや構造をモチーフに制作します。 前回個展「おはなのえのえ」 (2020年)から続くOverlap of paint シリーズは絵画の画面上で起こっている織物のように塗り重ねられた絵具の重なりに注目したシリーズです。
本展では山口自身、幼い頃から馴染み深い巨匠たちの名画をモチーフに、それらを一度解体し再構成し、絵画が完成するまでのプロセス、純粋な絵画への探究、描くことの娯しみを表現しています。各作家のアイコン的な役割となっている名画が山口の手によって再構築され、最表層の下に隠される絵の具の重なり・作家の関心や興味・情熱から生まれるイメージの表出劇が展開されます。
是非この機会にご覧いただければ幸甚に存じます。
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ー 絵の具を塗り重ねるという『表出劇』ー
絵の具が画面上でいつ絵画に変わるのか?
絵の具という物体がある意図のもとキャンバスに塗り付けられ、そのタッチや過程の集合体がやがてイメージとなって、それをみる者へ伝達する。
ただ塗り重ねるのではなく、こうあって欲しいという明確な欲求。
絵の具をキャンバスに塗り重ねていく行為の中で自身の触覚を経てそれが画面に反映され、自分の思うイメージを目の前のキャンバスに表出させる。
100%満足することはないがそれが延々と繰り返される。
「この色がこんな抵抗感を持つまで丁寧にしっとりしっとり塗り重ねよう。」
「このエッジがキリッともっと効くように、周りをヌメっとピタッと塗り込もう。」
「もっと甘く美味しそうで凛とした色合いにしたいから塗り直し。」
真っ青な単色の画面だったとしてもそれはそこに表れる。
絵の具が画面上で絵画に変わる過程を私は「表出劇」と呼んでいて、自分が絵を描くことに着目する重要な部分だと思っている。
今展では、絵画に至る絵画を描きたいという思いから自身の幼い頃から馴染みの深い名画たちを中心に、絵具の重なりによるイメージの表出劇と向き合っている。
2023.06.10
山口聡一