2020.12.08-12.25
大黒貴之
この度、MARUEIDO JAPANでは、2年ぶりとなる彫刻家 大黒貴之の個展「A Part for the Whole」開催いたします。
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私の作品には、近江の⾃然の影響を下に形成された有機的な彫刻が多くみられます。⾃然の構造を観察するとシンプルなフォルムの集合体が、全体としての個を形成しているようです。俯瞰的にみるとその全体さえも、さらに⼤きな全体の中の⼀部であるように映ります。⽇本の⾵⼟に合わせて建てられた伝統的な家屋には、⽞関や縁側という外でも内でもない空間が存在します。また彼岸と此岸の間を表現した能舞台や神社の参道などからも、あちら側とこちら側のどちらでもない領域を感じることができます。
本展では、2016 年にドイツから帰国した後、展開を深めてきたフォールド・ドローイング・シリーズの新作「Folded Drawings with dots」、ドイツ滞在中より発表を⾏ってきた⽩彫刻と⿊鉄枠の彫刻シリーズ「Cosmos (indoor No.02)」などを発表致します。
前者に映る⾦属質の表⾯上には、折られることによって導き出された線と無数のドットの集合体が重ねられ、それらが規則正しく連続して配置されています。折る⾏為によってわずかに起伏した凸と開ける⾏為によって陥没した凹には光が差し込み、そこには彫刻とドロ ーイングの間を⾏き来する空間が⽣まれます。Cosmos (indoor No.02)には⿊く塗装された無機質な鉄枠内に、⽩く有機的なフォルムの連続体が存在しています。シームレスな鉄枠の上⽅から吊り下げられた⽩い彫刻の周辺にある空間は、内でもあり、外でもある空間だと捉えることができます。
「部分が全体を形成し、同時に全体が部分を形成している」という意識下で制作された作品を通じて、両義の間で揺れ動いているかのような関係性や出来事を感じていただければ幸いに存じます。
2020 年 11 ⽉⼤⿊貴之
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