Scattered and Connected

Scattered and Connected

2022.10.08 - 2022.10.29

増田 将大

展覧会の概要

アーティスト・ステートメント

私の制作プロセスは、ある場所を撮影し、その画像を同じ場所にプロジェクターで投影し、また撮影する。この工程を複数回繰り返し行い、残像を残すようにイメージを連続させる、といったものである。
これまで同じ場所に過去のイメージを重ねることで時間の連なりを表現してきた。
それは、その場所が持つ意味を時間の経過とともに作品として表出させたかったからである。
茨城県の自身のアトリエから始まり、オフィスビル、乗馬小屋、古城、山林、小島、などの個人性の強い場所からパブリックな場所まで国内外のさまざまな地で撮影を繰り返してきた。制作当初は、それぞれの地に固有の時間や物語があるように感じていたが、出来上がった作品群を俯瞰して見たとき、全ての作品に共通の時間軸を感じた。

今回の展覧会では、モノクロに近い色彩の作品が中心となっている。先に述べたこれまでのシリーズでは撮影とプロジェクションにより発生する粒子的で比較的鮮やかな色彩を取り入れたものが多かったが、そうした色彩をあえて抑えることで実体と虚像とのギャップ、そして絵の具によるマチエールのレイヤーが強調される。
実体と、撮影時のプロジェクションによるイメージは、同じ時間軸にありながら物理的には異なる存在である。しかしながら作品の画面上では、この過去から連なる時間のレイヤーが一続きとなる。
無機質なドアや廊下といったモチーフはパース的な奥行きを生み出し、その向こう側に広がる空間と時間を連想させる。
本展は、いわば過去と現在、虚像と実像、そして鑑賞者の想像といった、散らばったモチーフが、作品を通して一つの空間で接続されることを期待し「Scattered and Connected」と名付けた。

増田 将大

アーティスト

  • 増田 将大