恋は盲目 -Love is blind-

恋は盲目 -Love is blind-

2019.04.10 - 2019.05.18

ロビンソン愛子

展覧会の概要

この度、MARUEIDO JAPANでは、ロビンソン愛子の個展「恋は盲目|Love is Blind」を開催いたします。

日本人の母を持つロビンソン愛子は、ニュージーランドで生まれ育ちました。現在は東京藝術大学大学院(絵画専攻版画研究)に留学中、一時的に日本で制作活動をしています。近年海外でも評価が著しい日本の春画に着目し、彼女独特の視点で機知に富んだ現代春画を展開しています。
本展ではニュージーランドで制作した旧作と日本に来てからの新作を織り混ぜて展示いたします。

是非ご高覧賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

*本展では、直接的な性描写のある作品が展示されております。
その旨ご承認のうえ、ご来廊ください。



-Statement-

私が初めて春画に興味を持ったのは2013年、ニュージーランドのオークランド大学で勉強をしていた当時学部3年の頃でした。当時の私の作品は教授から「無難すぎる」とか「可愛すぎる」などと批判される事が度々あったのですが、その評価を変えたいと思い、少々ヤケになって作ったのが、私の春画作品の始まりでした。偶然大学の図書館で借りていた浮世絵の本に載っていた春画作品にとてもインスパイアされたのです。始めは”SHOCK VALUE (ショックバリュー)”つまり周りをびっくりさせることを意識して作品を作っていたのですが、いつの間にか今では私のパッションへと変わっていました。日本の人々が性的な作品に対して開放的であった江戸時代に作られた春画の多くには、男女が平等な立場で性的な喜びを共に楽しむ様子が描かれており、とても平和で理想的な愛が表現されているように感じます。その江戸時代の絵師達が描いたセックスはどのように現代社会や文化に関連しているのか、私は絵を通してリサーチを続けてきました。

セックスや性欲は人間的な欲だけでなく、とてもすばらしく、歓喜することだと思います。春画やポルノといったセクシュアルなコンテンツを見たいと思う気持ちも同じように人間らしく、健康的だと思います。性的欲求や空想を抑圧してしまうと、結果的に人と人との親密な関係が難しくなったり、欲求不満に感じたり、他人のことを批判してしまう傾向を持ってしまうことにも繋がりかねません。このようなことを無くす為に、私は作品を通してセックスについて気軽にそして楽しく語り合える場所を作りたいと思っています。最近は「笑い絵」をコンセプトに作品を制作しています。江戸時代に描かれていた春画はユーモアに溢れる作品も多く、老若男女を問わず多くの人々から親しまれていました。あり得ない体制でセックスするカップル、不思議な状況や、たこ、カッパなどと変わった相手とも交わる女性を描くなど、おかしくってユニークな絵が江戸時代にはたくさんありました。画面の文字にも言葉遊びやシャレが入っていたり、その愉快な絵と高い技術が私には親しみやすく、魅力的に感じます。私は日本とニュージーランドの二つの文化を活かすため、作品には主に西洋のシャレを取り入れています。この展示タイトルのインスピレーションとなったシェイクスピアの名言「恋は盲目」は、パッションやロマンスを感じさせると同時に、私が描く顔の無い、つまり目が見えない人物の事を指すダークユーモアも含まれています。わざわざ木をのぼりセックスする恋人達のイメージもまた、カップルをいじる時に悪ふざけで使う有名な歌で「(name) and (name) up a tree, F. U. C. K. I. N. G」と言った歌詞からインスパイアされました。西洋では歴史的にエッチングの技法を使ったエロティックなアートが多かったということを知り、私もエッチング作品を作っています。西洋文化で有名な口説き文句に「私のエッチングを見に来ない?」と言うフレーズもあります。もちろんこの展示にある作品のタイトルでも使っているように「エッチ」と「エッチング」の言葉も掛けています。私の作品を近くでご覧頂けるとあらゆる所にシャレが隠されています。例えば6と9で止まっている時計であったり、キノコとムール貝、ネジとボルトの柄が入った着物や帯も描いています。

これらの作品はどれも愛と、リスペクトと、親密さをテーマにしています。セックスは人生に大きな喜びを与えます。

ロビンソン愛子


アーティスト

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